私の治療観④ 「治療法についてどう考えるか」

対症療法といわゆる根本療法について

対症的ではなく原因にアプローチすることが大切であるということをよく耳にします。前回ご紹介したように、原因が便宜的なものであるとすれば、いわゆる根本療法は「より長持ちする対症療法」と解釈でき、あらゆる療法が効果の長短の差による対症療法であるということになります。

・対症療法(結果)  一般的に効果が短いとされる
・根本療法(原因)  一般的に効果が長いとされる = 長持ちする対症療法

つまりは、あらゆる療法が対症療法であるとすると、療法の違いは優劣ではなく特徴の違いになり、状況に合わせて使い分ければよいと捉えることができます。これは以前述べた「何でもいいけどどうでもよくない」ということです。

「すぐにぶり返す治療法とすぐ火が消えるバーベキュー」を例にすると、対症療法は着火剤であり、いわゆる根本療法は炭です。つまりは着火剤が悪いのではなく、着火剤ばかり使って炭へ火を移さないことが悪いということになります。対症療法が悪いのではなく、対症療法ばかり繰り返していることが悪いのです。

したがって、「評価」という状況判断が重要となってきます。

治療刺激の強弱について

私の治療刺激の強弱の捉え方にかんしては、料理の味と同じと考えています。

料理の味は
  1.甘い料理でも辛い料理でも、食べて栄養になればそれでよい。
  2.甘い料理で胸やけする人もいれば、辛い料理でお腹をこわす人もいるから使い分けが大切。
  3.甘い料理が得意な料理人もいれば、辛い料理が得意な料理人もいる。
  4.お客さんも料理人もいろいろな人がいるから、料理の世界は多様性が大切。

手技療法の刺激は
  1.ソフトな治療でもハードな治療でも、効果が出ればそれでよい。
  2.ソフトな方法でフラストレーションを起こす人もいれば、ハードな治療で具合が悪くなる人もいるから
    使い分けが大切
  3.ソフトな治療が得意なセラピストもいれば、ハードな治療が得意な治療家もいる。
  4.クライアントもセラピストもいろいろな人がいるから、手技療法の世界も多様性が大切。

このように、料理人が和食や中華、フランス料理など、どのような料理を主とするのか自由に決めているように我々、セラピストもそれぞれ個性や能力が異なるので、自分に合った方法という観点から習得するアプローチを選択してもよいと思います。

ただし、料理人が味付けをコントロールできるように、セラピストも適切な刺激量を判断でき、刺激をコントロールする技術を持つことが非常に重要であると考えています。

ここでも「評価」という状況判断が重要となり、「何でもいいけどどうでもよくない」も同様です。

アプローチする部位の違いと「楽操」

クライアントの身体への介入方法には、マクロな視点として症状に近接する部位からアプローチする方法、もしくは症状より離れた部位からアプローチする方法の大きく二通り存在します。

症状に近接する部位より介入する近接的アプローチの特徴として
  長所:患者にとってわかりやすい(経験の浅いセラピストにもわかりやすい)
  短所:同じことを繰り返すだけでは対症療法となり、改善が一時的で再発しやすいこともある

症状とは離れた部位より介入する遠隔的アプローチ(適切な表現ではないかも)として
  長所:いわゆる対症療法よりも効果が長持ちするとされている
       ※離れているからよいというより、連鎖的な影響を及ぼすのがよいのかもしれない。
  短所:症状と治療部位が離れているほど、患者にとって理解しにくい可能性がある。

下に、おおざっぱではありますが、構造モデルによる近接的・遠隔的アプローチのイメージを示します。

「押す・引く・曲げる・伸ばす」は刺激方向が違っても、セラピストの身体操作の仕方は同じです。つまりは、どのようなアプローチを学ぶにしても、セラピスト自身の身体を傷めないように楽に操作しつつ、評価によって導かれた部位に対して、正確に芯を捉えた刺激を加えることができる技術を身につける必要があると考えています。

最後に、治療法については、セラピストもそれぞれ特徴を有していることから、様々な方法の中からセラピスト自身も納得でき、責任を持って行うことができる手段を持ち札としていくつか備え、状況に応じて選択してクライアントを支援することが大切です。

次回は、「私の臨床について」をご紹介いたします。

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